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『混浴温泉について』

 私が日本酒に詳しいのは当然のことであると皆さんは思われるだろうが、実は日本酒よりも詳しいかもしれない分野がある。

 それは『温泉』である。(あ~因みに同等に詳しいのがワインで、その次が歌舞伎かなぁ……)

 温泉ソムリエマスター(一つ星)の私にとって、温泉は日本酒やワインと同じで、外観(色)、香り、味、そして肌触りで、大抵間違いなく成分がわかるのである。法律で、脱衣所には必ず温泉分析書を掲示しなくていけない決まりとなっているが、それを見なくても大抵当たる。

 先月、温泉を楽しむだけのために青森へ行ってきた。まずは青森一有名な温泉『酸ヶ湯温泉(すかゆおんせん)』の湯治棟に泊まり、千人風呂を堪能した。ここは男女混浴で、女性は湯浴みを着用して入浴することもできるが、そんな人はあまりいない。なぜならば、女性の脱衣所から湯船の途中までは衝立があるので、衝立の裏で白濁した湯に浸かりさえすれば裸体を見られずに済むのである。ところが、衝立の向こうを斜めから見られる位置があり、知らずに?そこに行ってしまった私は御婦人が立ち上がって乳を晒している姿を目の当たりにして、お互い大変気まずい思いをしてしまったのだ。久しぶりに見ず知らずの人の生乳を拝見したのである。合掌。

 まあとにかく、温泉好きの私としては、『温泉芸妓』と同様に『混浴温泉』も絶滅危惧種として大切に思っているのである。

 酸ヶ湯温泉のあとは谷地温泉、蔦温泉や七戸の黒湯、浅虫温泉などを回り、青森の温泉を満喫したのであった。